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/ Gekkan Dennou Club 147 / Gekkan Dennou Club - 2000.8 Vol. 147 (Japan).7z / Gekkan Dennou Club - 2000.8 Vol. 147 (Japan) (Track 1).bin / music / ltw / ltwmake.txt < prev    next >
Text File  |  2000-06-27  |  10KB  |  298 lines

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  2.  
  3.  LIKE THE WIND 制作過程(WindowsでのZ環境のススメ!?)
  4.  
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  6.  
  7.  
  8.  ここでは今回のデータ制作の過程なんかを紹介してみたいと思います。
  9.  
  10. 初めにお断りしておきますが、これはあくまで今回の制作過程であって、模範的
  11.  
  12. な制作方法という訳ではありません。実際X68kからWindowsに移行して、まだ手
  13.  
  14. 探り状態でやっている部分も多々あります。あくまで参考として、ご覧ください。
  15.  
  16.  
  17.  まずは選曲。きっかけは4月1日、例のニュースを見て「最後の投稿作を急い
  18.  
  19. で作らねば!」と思った事。その時点では何も出来ていませんでした。条件とし
  20.  
  21. て、年末に無理して買ったMU2000で何か作りたいという事と、今までやろうとし
  22.  
  23. て出来なかったプラグインボードを使った曲を作りたいというのがありました。
  24.  
  25.  いろいろ考えましたが、この曲が無理無く作れそうで、VL,DX,ANの各ボードに
  26.  
  27. 適したパートがあった事からこれに決定しました。前から作ってみたいと思って
  28.  
  29. ましたし。
  30.  
  31.  
  32. 1:設計
  33.  
  34.  まず初めに設計します。音源はMU1000/MU2000。プラグインボードを3種使用。
  35.  
  36. これは初めから決まってました。そしたら次は曲を聴きまくって使っている楽器
  37.  
  38. (パート)を割り出します。これが難しい曲の場合は、この時点で後述する音採
  39.  
  40. りテクニックを使う場合もあります。この曲では
  41.  
  42. ・メロディ:ソプラノサックス、VLボード使用
  43. ・ベース
  44. ・ドラム:バス、スネア、タム、ハイハット、タンバリン、シンバル。
  45. ・エレピ:DXボード使用
  46. ・アナログシンセ:Sawウェーブ系、ANボード使用。
  47. ・ギター1:右で鳴ってるクリーンギター。
  48. ・ギター2:サビの終わりのみで左で鳴ってる。
  49. ・ストリングス1:イントロ・間奏で鳴ってる。
  50. ・ストリングス2:Bメロ~サビで鳴ってる
  51. ・シンセ:ストリングス2とユニゾンぽく。パッド系。ハッキリ聞こえた訳では
  52.    ないが、厚み的に必要と判断して。他に部分的に鳴ってるパートも。
  53. ・ベル系:サビでメロとユニゾンぽく鳴ってる。
  54. ・オルガン:ロックオルガン、2コーラス後の間奏のみ。
  55.  
  56. と、ドラムを2,3パートに分けて、ユニゾンを使うパートを考えると16チャン
  57.  
  58. ネルで入るかどうか、という所。まぁ、入らなければ無理して16チャンネルに収
  59.  
  60. める事もないでしょう。X68内蔵音源で作る場合はこの時点で表を書いたりして
  61.  
  62. チャンネルをどう使うか細かく設計したりしますが、最近のMIDI音源ではそんな
  63.  
  64. 必要はないですね。
  65.  
  66. それからエフェクターをどう使うか。MU100だとかなり悩む所でしたが、MU2000
  67.  
  68. ではインサーションが2つ増えた事、この曲では歪み系のギターを使ってない事
  69.  
  70. で、かなり余裕がありますので、これは後から考える事にしました。贅沢ですが
  71.  
  72. これも無理に全部使う必要はありません。(余裕がない場合はこの段階の設計は
  73.  
  74. 重要になります)
  75.  
  76.  
  77. 2:Windowsでの制作環境
  78.  
  79.  Oh!Xの方でも書かせていただきましたが、Windows上でZEDITというツールを使
  80.  
  81. ってZ互換のMMLでのMIDIデータ制作が出来ます。私はもうこちらがメインにな
  82.  
  83. ってます。ZEDITの環境についてはOh!Xを読んでいただくとして(宣伝モード)、
  84.  
  85. その他コピー時に準備する物は元曲のWAVデータ。え?、MP3?なんですか?それ。
  86.  
  87. 昔はCDをかけてちょくちょくREWしながら聴いたりしましたが、WAVEエディター
  88.  
  89. 上なら聞きたい場所がすぐに聴けますし、繰り返しも簡単です。
  90.  
  91.  
  92. 3:音採り・打ち込み・音色制作
  93.  
  94.  音採りしつつ、音色を選び、調整して行きます。まずはいいかげんなドラム
  95.  
  96. パート
  97.  
  98. |:256rceccr*14c*10ec:|
  99.  
  100. を作っておいて、ベースから入力します。
  101.  
  102. ベースが重要でない曲はほとんど無いでしょう。曲にもよりますが、この曲のよ
  103.  
  104. うな生弾きベースの入力で大事なのはゲートタイム。音を消すタイミングですね。
  105.  
  106. Z3のMMLでは g4,*32g4,*32g*14<g*10,*6,114>g,*22
  107.  
  108. という感じに音長の後に , で区切ってゲートタイムの指定が出来ます。さらに 
  109.  
  110. , で区切ってベロシティが指定できます。これを納得行くまで調整していきます。
  111.  
  112. 目安としては、ソロで聴いても「ノリが良い」と感じられる程度でしょうか。
  113.  
  114. さらにこの曲ではよく聴くと所々ピッキングでパーカッシブな音を出しています。
  115.  
  116. この音も結構重要と思われたので、ノイズのみを鳴らすパートをユニゾンさせま
  117.  
  118. したが、全然表現できませんでした。課題点1。
  119.  
  120.  
  121.  次にドラムをちゃんと入力します。ベロシティほぼ均一で単調に聞こえるかも
  122.  
  123. しれませんが、これは元曲がそうなのであえてそのままにしました。生っぽさを
  124.  
  125. 出したい場合はベロシティをバラけさせたりタイミングをずらしたりします。
  126.  
  127. そう言う意味では今回は楽でしたね。気を使った所といえば「ハネぐあい」でし
  128.  
  129. ょうか?。ちなみにこのドラムはMU1000/2000で新たに追加されたNatural Kitを
  130.  
  131. メインに使ってます。もちろんレイヤー&エフェクト&パラメータいじってます
  132.  
  133. が。
  134.  
  135.  
  136.  次はエレピ。エレピなんかはプリセットのウェーブ音色でも良い音する気がし
  137.  
  138. ますが、プリセット音は単独で聴いてもそこそこ聴ける音色にしてあるので、本
  139.  
  140. 物っぽさに欠けます。FM音源をいじる人なら解ると思いますが、元は結構チー
  141.  
  142. プな音です。そこで、本物の音が出るDX(FM音源)ボードを使用。その代わ
  143.  
  144. りちゃんとエフェクトを掛けて音作りをしてやらなければチープな音のままです。
  145.  
  146. DXボードを使うときはその辺に注意しましょう。
  147.  
  148.  
  149.  こんな感じでバッキング的なパートから入力していってメロディなんかは最後
  150.  
  151. に入力します。次はストリングス、パッド系。イントロなんかはハッキリフレー
  152.  
  153. ズが聞き取れますが、それ以外はほとんどでっち上げに近いです。こういったパ
  154.  
  155. ートでは音が合っているかよりもアンビエント感をちゃんと出しているか、とか
  156.  
  157. 全体の厚みを増している、とかのパートの「役割」がちゃんとコピーできるかど
  158.  
  159. うかが重要です。
  160.  
  161.  
  162.  右ギター。これもカッティングが中心なのでゲートタイムが重要です。音色も
  163.  
  164. 重要ですね。2チャンネル重ねて作ってみました。左ギターは…ごめんなさい、
  165.  
  166. 手抜きです。元曲を聴いてみればわかりますが全然音が違います。とは言っても
  167.  
  168. 音が作れなかったのも事実。課題点2。
  169.  
  170.  
  171.  あとはオルガンだの部分的なシンセだの、メロディ以外のパートを全て入力し
  172.  
  173. て(これも苦労点を書き出せばキリないですが)この段階で調整します。調整と
  174.  
  175. いうのは音量バランスもそうですが、エフェクト量やEQ、音色がマッチしてい
  176.  
  177. るか、耳障りな音はないか、とか入念にチェックします。
  178.  
  179.  
  180.  メロディだけ後回しにするのは、いつもヴォーカル曲をコピーする事が多いの
  181.  
  182. で元と大きく違うパートになってしまうからです。そうでなくても、メロディが
  183.  
  184. ないとバランス悪い曲というのもいやですしね。元曲のインストバージョンがあ
  185.  
  186. る場合は、それと比較して調整します。
  187.  
  188.  
  189.  最後にメロディ。VLボードでサックスを入力します。詳しくは「ボードの使
  190.  
  191. い方」で説明しますが、ちゃんと打ち込むのは初めてだったのであまり納得行く
  192.  
  193. 出来にはなりませんでした。まぁ、「初心者が緊張しながら吹いてる生演奏」程
  194.  
  195. 度にはなったかな?
  196.  
  197. このパートはちょっと変わった作り方をしました。ZMSを見ていただければわか
  198.  
  199. りますが、後半のとんでもない事になってるパートはこれです。まずはノート情
  200.  
  201. 報だけをMMLで入力します。そしたらSMF化してXGworksで読みこみます。そして、
  202.  
  203. プレッシャー、アンブシュアなどのリアルタイムで変化するコントロールをマウ
  204.  
  205. スでズィ~と「描いて」いきます。さすがにこれはZオンリーでは無理なところ。
  206.  
  207. これで作ったSMFを完成版としてしまってもいいんですが、デンクラ投稿の為に
  208.  
  209. コントロール部分をSMFtoZ3Sを使ってMMLに戻しました。今後はわざわざそんな
  210.  
  211. 事はしないかも・・・。要はMML入力をデータ制作過程の一部とする訳ですね。
  212.  
  213. 他のパートはシーケンサーのピアノロールとかで入力する事を考えたら逆にウン
  214.  
  215. ザリですから。両者の長所部分を上手く使ってやろうという事です。
  216.  
  217.  
  218. 4:音採り(秘)テクニック
  219.  
  220.  別に秘密にしてもしょうがないですから公開しちゃいます(笑)。まず元曲の
  221.  
  222. WAVデータを用意すると書きましたが、これを1オクターブピッチを上げた物も
  223.  
  224. 用意します。エディターのピッチチェンジ機能を使います。これを半分のレート
  225.  
  226. で聴くとピッチはそのままでスピードが半分になります。ただ、これは音が結構
  227.  
  228. 壊れてしまうので、あまり参考にはならない事も多いです。
  229.  
  230.  それからセンターキャンセル。片方のチャンネルを位相反転(インバート)さ
  231.  
  232. せて、左右のチャンネルをミックスします。するとモノラルになりますが、中央
  233.  
  234. で鳴っている音が聞こえなくなります。これで聞き取りにくかったパートが聞こ
  235.  
  236. えるようになる場合があります。
  237.  
  238.  他に極端にEQを掛けたものや特殊なエフェクトを使ったり、それらを複合させ
  239.  
  240. て目的のパートが聞き取りやすいWAVデータを作る場合もあります。
  241.  
  242.  音採りの時は基本的に元曲を部分再生しながらキーボードで音を確認しながら
  243.  
  244. 入力します(絶対音感なんてものはないので)。聞き取りにくい個所があったら
  245.  
  246. 先に用意した各WAVファイルを駆使します。4分音符分くらいの長さでループ再
  247.  
  248. 生させたりすると音が見えてくる場合もあります。高速ギターアドリブなんかは
  249.  
  250. この方法ですね。
  251.  
  252.  そしてある程度データが出来てきたら今度は作ったデータの方をサンプリング
  253.  
  254. します。単純に全体の波形を元曲のそれと比べると「なってない」個所が見えて
  255.  
  256. きます。Aメロ、Bメロ、サビでの音量の変化具合。ドラムと他のパートのバラ
  257.  
  258. ンスなど。これをさらにセンターキャンセルして、元曲との変化の違いを比べま
  259.  
  260. す。ステレオ感が足りないと見事に消えてしまうので一目(耳?)瞭然です。
  261.  
  262.  音採りが上手く出来なかった個所も元曲と同じように部分聴き、ループ再生し
  263.  
  264. て元と比べます。すると間違った部分が明確にわかるはずです。
  265.  
  266.  このように、最近はウェーブエディターを駆使した音採りをしています。これ
  267.  
  268. もWin環境(Macでもいいけど)馬鹿にならず、といった所ですね。
  269.  
  270.  
  271. 5:仕上げ
  272.  
  273.  音の部分が出来たらデータ的にマズイ点がないかチェックします。Zなデータ
  274.  
  275. だとありがちですが、1つのタイミングに大量のMIDIメッセージが集中していな
  276.  
  277. いか、XG用に作ったつもりなのにMU100用の音色や機能を使ってないか、など。
  278.  
  279.  完成したら何人かの人に試聴してもらうといいですね。私もいつもはネット上
  280.  
  281. のMU100仲間に試聴をお願いしています(今回はさすがに再生環境のある人はいま
  282.  
  283. せんでしたが)。どうしても制作中の音に慣れてしまうので、新鮮な耳で聞いて
  284.  
  285. もらうと見えなかった部分が見えてきます。
  286.  
  287.  あと、良いヘッドホンで聴く、安いヘッドホンで聴く、コンポ(相当)のスピ
  288.  
  289. ーカーで聴く、ラジカセ(相当)で聴く、車中で聴く。も出来れば試しておきた
  290.  
  291. いですね。それぞれ音量大と小でも違いがあるのでその辺もチェックです。
  292.  
  293.  デンクラに投稿する場合はドキュメントと演奏時間のチェックも忘れずに。
  294.  
  295. ・・・・・ぁ。(涙)
  296.  
  297.  
  298. (EOF)